高橋:この曲は「信号で止まったら」って曲だったんですよ、実は。で、自分が歌う曲でもっとロックだったんですよ。
田家:えー!
高橋:全然こんなタイプの曲じゃなくて、たまたまテレビの挿入歌の話を加藤いづみがいただいて、スタッフで僕が今まで書いた曲を聴きながら、この曲どうにかならない?ってなって、それで加藤いづみに寄せて作り直してみようかって感じでやったやつなんですよ。
田家:レコードになってなかったんですか?
高橋:なってないですね。ただ僕のデモテープの中に入っていただけで。
田家:フジテレビの方がいい耳をしていたというか。いづみさん用にアコースティックにしてあらためて思われたことってあるんですか?
高橋:ドラマ班の方からダメ出しをたくさんいただいて。わりと僕は最初に小難しい詞を書いていたなと思って。でも、ドラマのプロデューサーの女性から、ドラマの成り立ちみたいなことを口頭で説明してもらって。じゃあ、そのまま書いてみるから、もうちょっとちゃんと説明してって言って、作ったらオッケーになった感じですね。
田家:それが作詞家なんだっていうことかもしれないですね。
高橋:どうなんでしょうね。職人っぽい仕事であることはあるけれども、自分でも分からなくなるんすよね、田家さん(笑)。
田家:僕らもいづみさんにぴったりだなって思ったりするという(笑)。歌というのはそういうものですね。
田家:加藤いづみさんの1992年10月発売のシングル「シャンプー」。「好きになって、よかった」と並ぶ代表曲ですね。これもそういうエピソードがあるんですか。
高橋:もともとコマソンだったんですよ。シャンプーのコマーシャルで15秒しかなかった。そしたらコマーシャル的にも人気が出てきて、じゃあフルサイズにしてくださいってことになって、そこからフルサイズに作っていった建て増しした家みたいな感じですね(笑)。
田家:「好きになって、よかった」もそうですし、この曲もそうですし、いづみさんに書いた曲はメルヘンと女心と生活感みたいなものが一緒になっている詞が結構あるでしょう。「髪を切ってしまおう」という女の子っぽい曲があったり、1枚目のアルバム、1991年の『テグジュペリ』。2枚目が1992年『星になった涙』。これもそういうイメージのタイトルですもんね。いづみさんにはアルバムを全部やるんだって形で関わられた?
高橋:最初はまだ本人にも会っていなくて、写真を見せられて、おかわいいじゃんって。で、声を聴かされて、ヴァネッサ・パラディなんかの歌を歌っている声を聴かされて、おおいい声じゃんってそれだけで3曲作ったんです。こんな感じでどう?って言ったら、事務所もオッケーってなっていいじゃんってなって。
田家:研さんの中で女の子をプロデュースするなら、こういうことをやりたいみたいなのはそれまでにあったんですか?
高橋:女性アーティストの歌を聴くのも好きで、洋楽も邦楽も。だから、わりとイメージは湧くタイプですね。
田家:「シャンプー」の入っている『Sweet Love Song』の30周年盤が出たのですが、この曲もその中に入っておりました。「星空のジェットプレイン」。