プロデューサー高橋研が振り返る、中村あゆみや加藤いづみの楽曲



田家:1983年6月発売、THE ALFEEの「メリーアン」。曲が高見沢俊彦さんで作詞がお2人の共作であります。

高橋:THE ALFEEとはこの後もたくさん、高見沢さんと一緒に作らせていただいて。

田家:1985年の「霧のソフィア」までシングル表題曲は全部一緒ですね。

高橋:当時僕がプロデュースしているアーティストのレコーディングスタジオとTHE ALFEEのレコーディングスタジオが一緒のところだったもので、軽音部の先輩みたいな感じ(笑)。毎日ずっと一緒にいたので、いつどんなふうにして詞のやり取りがあったのかとか、あまり覚えてないんですよ。「メリーアン」とか「星空のディスタンス」くらいは覚えているんですけど。

田家:出会うようになったきっかけがあったんでしょう?

高橋:もう亡くなったんですけど坪野さんというポニーキャニオンのディレクターがいらして。僕はポニーキャニオンに契約を切られたんですけど、切ったのが坪野さんなんですね。だからとても仲が悪くて(笑)。2年ぐらいは疎遠だったんですけど、電話がかかってきて「研、今お前の家の目の前の居酒屋で飲んでるから来てくれない?」って。その頃には僕も怒りは冷めていたので、ちょっと聴いてほしい曲があるんだけどってカセットウォークマンで聴かせてくれたのが「メリーアン」だったんですね。

田家:で、詞書いてみない?って。

高橋:高見沢さんがラララで歌っているようなやつで。

田家:前作の研さんのアルバム『BIG END』の中に「さよなら Mr.T」という曲があって、あーこれ坪野さんだろうなと思ったんですよ。

高橋:そうです、そうです。

田家:研さんのブログ、2008年に坪野さん還暦祝いっていう。迷っていた俺を再び音楽に向かわせてくれた恩人というふうに書いていましたね。

高橋:路頭に迷わせた本人ですけど、こっちくれば?って言ってくれた人でもあるんですね。



田家:この曲ではどんなことを思い出されますか?

高橋:「メリーアン」がちょっと売れて、それで今高見沢も曲書いてるから、研も詞のアイデアだけ書いておいてくれないかって言われて詞を書いて。高見沢さんの曲ができてきてパッと合わせたら、もうメロディと詞がバッチリ合ったんですよ。「星空の下のディスタンス」っていうところ。他のところはバラバラだけど、組み合わせがサビだけバッチリ合って、これでいけるじゃんって言って完成形を求めていった感じですかね。

田家:坪野さんからこの曲の話を聞いたことがあって。研さんが書いたのは燃え上がる、高見沢さんが燃え上がれにしたという話を強調していましたね。

高橋:ええ。常に命令形にされちゃうんです、僕(笑)。

田家:この曲のある種の自分たちの勢いが「れ」に表れているんだという話でしたよ。

高橋:そうですね。歌う本人じゃないから、燃え上がれって言いづらいんでしょうね。

田家:遠慮しちゃうんでしょうね。これも星空イメージの1曲ですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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