シティ・ポップの源流、70年代後半の名曲を本城和治と語る

テレフォン・ナンバー / 大橋純子

田家:この曲を選ばれているのは?

本城:これは大橋純子でやってきた、シティポップス路線の究極だと思うんですよ。そういうので、ずっとバンド主体でレコーディングしてきたので。

田家:美乃家セントラル・ステイションで。

本城:バンドをやってきて、これはその後、私が手がけた最後のアルバムが、彼女のソロのアルバムだったんですけどね。この後、彼女は海外へ行って、ロスとニューヨークでそれぞれアルバムを作るようになって。それはもう私の手を離れて。海外で生活をして、海外でレコーディングをするようになったんですけどね。日本でやった最後のアルバムです。

田家:なるほどね。それもじゃあ、思い入れが他のものと違ったり。

本城:そうですね。しかもソロアルバムですしね。

田家:ソロになる時に彼女の意見があったりして、そうなったんですか?

本城:うーん、まあ結果的にバンドでやることも十分やり終えましたしね。それとこの前後に「シルエット・ロマンス」というヒット曲が出て。これが多少歌謡路線で、本人はあまり気に入ったあれじゃなかったんですけど、ヒットしちゃったんですけど。それは「たそがれマイ・ラブ」と同じで。そういうこともあって、彼女は海外へ行くようになったんです。

田家:なるほどね。「シルエット・ロマンス」があったということが、転機になったりした。

本城:まあ、ありますけどね。今ではもちろん「シルエット・ロマンス」とか、「たそがれマイ・ラブ」も大事にして歌ってますけども。まだ若かったですから、彼女も。自分の目指す音楽は違うんじゃないかということを感じたんじゃないですかね。

田家:冒頭でジャンルという話をした時に、やっぱり歌謡曲的なことを入れてヒットを狙うこともあるけどっておっしゃってましたけど。そういう例が出てきたりしたということなんでしょうね。

本城:そうでしょうね。後から考えれば、それも歌手としての財産でね、それはそれでいいんですけど。やっぱり、そういう時期ってありますよね。

田家:でも、ヒットプロデューサー、ヒットディレクターというのはその両面できないといけないということでもあるんでしょうね。来週は名盤ということで、アルバムについてまた伺おうと思います。ありがとうございました。

本城:どうも失礼しました。

Rolling Stone Japan 編集部

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