Broken Kangarooが語る、“架空のサントラ”からスタートした生きるための音楽制作

―今回のアルバム『18』はどんなコンセプトで制作しているのでしょうか。

『18』というタイトル通り、音楽を作るようになってから今までの軌跡というか、自分のちょっとした足跡を1枚のアルバムにできたらいいかなと思って制作に至りました。

―タイトル曲「18」で〈17歳の春 俺はまだ履き違えていた〉と歌っています。1年前のご自分は今と違っているんですか。

「誰ですか?」っていうぐらい全然違います(笑)。今でも何かがわかっていると自惚れているわけでないんですけど、17歳の頃は今と比べても何もわかっていなかったなと思っていて。だから、〈履き違えていた〉って表しました。「18」は誰かに向けての曲であり自分に向けての曲でもあると思っているんです。そういう意味で、理解できていなかった自分をまず恥じるところから始めようと思ってこういう歌詞を書きました。

―とくに、何が理解できていなかったと思っているのでしょうか。

17歳のときに、親に「それ偏見だよ」って言われたことがあったんですけど、自分には偏見なんてないと思っていたので、「あ、偏見だったんだ。これはまずい」と思ったんです。何に対しても、偏見や固定概念を絶対持たないようにいなきゃいけないっていうことを理解できていなかったなって、自覚した感じです。

―自分の言葉で何かを発信するとなると、「こういうことを言ったら嫌われるかもしれない」とかっていうことも頭をよぎったりしないですか。

高校生活で、「誰かに嫌われるかもしれない」って思って自分で息苦しい思いをしていたので。それは音楽でしないようにしたいなと思っています。でも僕は絶対に、人を傷つけたくないんです。嘘もつきたくないし、ずるいこともしたくないので。「18」の歌詞はそういう心構えみたいな感じです。

―かなり映画も観ているんじゃないかと思いますけど、どんな作品が好きなんですか。

学生の頃から今も、マーベル作品が大好きなんです。がっつり『アベンジャーズ』世代なので。あとはミュージカル作品も好きで、『グレイテストショーマン』のようなショービズっぽい世界も好きです。最近ハマっているのは、クリストファー・ノーラン監督とか、デヴィッド・フィンチャー監督の作品とかのパンクっぽい映画です。

―ちょっとすぐには理解できない作品が多いですよね。

そうなんですよ、そこが気持ち良いというか。ああいう作風って好き嫌いが分かれると思うんですけど、僕は理解できなくていいと思っちゃうタイプなので大好きなんです。『メメント』(クリストファー・ノーラン監督作品)とかも、正直1回観ただけじゃわけがわからないというか(笑)。『メメント』が影響を受けたというクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』とか、狂っちゃっていて理解できない世界観のある映画が好きですね。説明することだけが表現じゃないと思うし、わからなさを楽しむのが結構好きです。

―音楽面でも、そういうところに影響を受けているんですか?

クリストファー・ノーラン監督は、ハンス・ジマーという僕が一番好きな劇伴作家とタッグを組むことが多いんですけど、『バットマン』シリーズの『ダークナイト』とかでも、不気味なシーンとか、混沌とか恐怖のシーンで、見事に音をあててくるんです。「これはどんなことをやっているんだろう?」って、1回聴いただけじゃわからないところが似ているんですよね。そういうところが大好きです。

Rolling Stone Japan 編集部

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