私立恵比寿中学が語る、デビュー10周年「エビ中」ならではの多様性の広がり

『私立恵比寿中学』の裏側

―では、最新アルバム『私立恵比寿中学』についてお聞きしたいと思います。今作は前作『playlist』以上に歌のアルバムになったと感じましたが、いかがですか?

安本 レコーディングしている間は正直不安な気持ちもあって。今までとタイプの違う楽曲が多かったし、「エビ中らしいアルバムになるのかな?」ってけっこう怖かったんですよ。だけど、全曲集まったときに「エビ中はやっぱり挑戦を止めないグループなんだな」って実感したし、「……あ、それがエビ中らしさなんだ」ってスッと自分の中に入ってきて。ファンの皆さんからするとこれは新しいエビ中なのかもしれないけど、どんどん新しくなっていくのもエビ中らしさなのかなと思ってます。

星名 曲を提供してくださるみなさんが自分の曲のように愛情を込めてつくってくださったので、それが本当にありがたいと思ってます。だからこそ、私たちはその曲のカラーに染まりつつも、あくまでも<私立恵比寿中学の楽曲>として歌っていけばいいのかなって毎回考えてます。今回のアルバムも石原慎也(Saucy Dog)さんとか大橋ちっぽけさんとかと出会うことができたし、そういう出会いが自分の感性の幅が広がるきっかけになってるので本当にありがたいと思います。

―今回、みなさんの声がすごく前に出てきてませんか?

安本 たしかに、これまでは「自分の気持ちをこの曲に閉じ込めよう」みたいな気持ちがあったんですけど、今回のアルバムは「何かキラッとするものをみんなに届けられたらいいな」という気持ちで歌えたので、そういうのがボーカルの雰囲気にも出てるのかなと思います。「外に開けよう」という気持ちが私にはありましたね。

―たしかに、単に歌声というより、人間が聞こえてくるように感じて、それぐらい声の質感が生々しく感じたんですよね。

星名 歌い方の統一にそこまでこだわらなかったのも大きいのかもしれない。今回は個人個人のニュアンスを大事にしたり、自分たち自身で曲を噛み砕いてレコーディングしたんです。『playlist』は完全に型どおりに録っていて、そうすることによって楽曲としてまとまりのあるものになったと思うんですけど、今回はそこが違ったんだと思います。



―たしかに、『playlist』のときは歌い方の統一を意識したとおっしゃってましたね。今回はどういうテーマがあったんですか?

星名 多様性というキーワードはあって。こんなにもメンバーの年齢の幅が広がったので、25歳と14歳が同じように曲のニュアンスを捉えられるかっていったらそうではないと思うんです。なので、そういう違いを大切にしたのが今回のアルバムだと思います。9人体制最初の形としてそういう部分を押し出せたのでいいアルバムになったのかなと思います。

―かつてのエビ中の特徴だった遊びのある曲が今回はないですよね。

安本 うーん?

星名 そうなのかなあ?

安本 自分たち的にはけっこう遊んでると思いますね。

―たとえば?

星名 「シュガーグレーズ」はけっこう遊んでるなって感じだし、「トキメキ的週末論」は完全に遊んでるし。





安本 もしかしたら、プロの遊びになってきてるのかもしれない。

中山 今までは学生の遊びだったけど、大人な遊び方になったというか。

星名 「ふざけるときも全力で」がちっちゃい頃からエビ中のポリシーなので、見てる方をどれだけ楽しませることができるかっていう真面目なふざけ方になったかもしれないね。

―鬼ごっこしてたのが六本木に飲み行くようになった、みたいな。

全員 あはは!

星名 まあ、いまだにブランコではしゃいでますけどね。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE