1960年代後半のカレッジフォークを仕掛け人とともに振り返る



田家:森山良子さんの5枚目のシングル『小さな貝がら』のカップリング「雨あがりのサンバ」。作詞が山上路夫さんで、作曲・アレンジが村井邦彦さんです。森山良子さんはオリジナルがほとんどなかったんですね。「この広い野原いっぱい」でデビューして以降、2枚目「ふたつの手の想い出」は鈴木邦彦さん、3枚目「恋はみずいろ」はヴィッキーさんのカバー。4枚目は森田公一さん、5枚目「小さな貝がら」は筒美京平さん、カップリングが村井邦彦さんの作曲だった。

本城:この曲は当時、村井邦彦がポップスの作曲家としてデビューして山上路夫さんと新しい日本のポップスを作っていきたいということで。森山良子という素晴らしい歌手がいるので、これからは自分達が作る曲を良子さんに歌ってもらえればありがたい。気に入ったらレコーディングしてほしいと山上・村井コンビで作り始めた一曲目がこの曲でした。

田家:これが名コンビの一曲目だった。すごいですね。森山良子さんはデビューした時に、日本のジョーン・バエズっていうキャッチコピーがついちゃったわけでしょう。

本城:本人は嫌がってましたけどね。本人はジャズ・シンガーとかポピュラー・シンガーとかバーブラ・ストライサンドみたいになりたかったんですよね

田家:でも世の中の流れやメディア、聞き手としては、日本のジョーン・バエズという方が彼女らしいと思ったんですかね。

本城:わかりやすいですからね。透明感のある声だし。彼女をフォークシンガーにするというつもりは元々なかったし、シンガーソングライターという意識も僕はあまりなかったし。ですから山上・村井コンビの曲とか新しい日本のポップスでいい曲を歌わせていけたらいいなと思ったんです。当時のアメリカの曲でもいい曲はありましたから、そういうのも歌って欲しかったし。

田家:でも森山良子さんのデビューにカレッジフォークという言葉が使われたということもあります。良子さんの話は最終週にまた伺いましょう。本城さんと言えば、この人のこともお伺いしないといけません。長谷川きよしさん。デビュー曲です、「別れのサンバ」。

Rolling Stone Japan 編集部

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