55
「Airplane Pt.2」(2018年)


BTSとラテンポップの戯れは、スタイリッシュでありながらもセクシーだ。「Airplane Pt.2」で彼らは、エアリーな高音と情熱的な低音を楽しげに行き来する。J-HOPEのソロミックステープに収録されている「Airplane」の続編であるこの曲は、有名ミュージシャンになることを夢見る男の物語と、ある時は陶酔的で、またある時は忙しく世界を股にかける男の疲れ切った感情を描いている(自伝的な)楽曲だ。歌詞に出てくる「エル・マリアッチ」は、彼らのように世界を飛び回るメキシコの楽団を指す。—N.M.

54
「Dream Glow (Feat. Charli XCX)」(2019年)


レコーディングクルーが「Glow」に取り掛かる直前、チャーリーXCXはBTSと束の間の逢瀬を楽しんだ。この曲は、2016年にチャーリーXCXの3rdアルバムとなるはずだった『XCX World』(プロデューサーは、ヒットを連発しているノルウェーのプロデューサーユニット・スターゲイト)のために書かれたティザー的なデモ音源だが、このアルバムが発表されることはなかった。JIMIN、JUNG KOOOK、JINの透明感あふれる甘く爽快なハーモニーが美しい楽曲として再解釈された「Dream Glow」は、モバイルゲーム『BTS WORLD』のサウンドトラックに収録されている。—C.A.

53
「Go Go」(2017年)


表面上は、“Yolo-yolo-yo”のチャントで盛り上がるパーティー向けの陽気なトリップ・ホップ風の曲に聴こえるかもしれない。だが、実際の歌詞は、物質主義に対する鋭い批判と次のハイ状態を求めつづけることの虚しさを歌っている。「いまの世代の人たちは、YOLO(訳注:「人生は一度きり」を意味するYou Only Live Onceの略)的なフレーズを使って、お金を浪費することで楽しんでいますが、実際そうした言葉を多用している時でさえ、その理由について考える人はあまりいないと思います」と、2017年の記者会見でSUGAはこの風刺的な曲について語った。「社会批判を題材にした曲のないアルバムは、BTSのアルバムとは言えないでしょう」—N.M.

52
「Epiphany」(2018年)

新たなアルバムシリーズのリリースの幕開けとして、各メンバーがソロ曲とそれに伴うMVを発表した。そのなかでも、自分を受け入れることの大切さを歌ったJINの感動的なパワーバラード「Epiphany」は、BTS界に衝撃をもたらした。「Epiphany」は、Z世代が放つフィル・コリンズの「Against All Odds (Take a Look at Me Now)」のサウンドの最終形態なのだ。ここで噴水の演出が入れば最高なのだが。—C.A.

51
「Tomorrow」(2014年)


2014年にリリースされたBTSの2nd EP『Skool Luv Affair』の収録曲「Tomorrow」は、BTSの中核を担うメッセージを発信している。そのメッセージとは、希望を失わなければ、もっといい未来が訪れるチャンスがある、というものだ。失業、燃え尽き症候群、家庭崩壊など、この曲はさまざまな困難について歌っているが、永遠に暗闇が続くわけではないとリスナーを励ましている。“明日になれば、また明るい光が輝くから心配しないで/これはストップじゃない、君が休むための一時停止/親指でプレイを押すんだ、みんなに見えるように”。ずっしりと響くベースパーカッションと歪んだシンセサイザーのサウンドが、彼らの言葉を受け止めるための土台を築いてくれる。—R.C.

Translated by Shoko Natori

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