90
「The Truth Untold (Feat. Steve Aoki)」(2018年)


プロデューサーに世界的DJのスティーヴ・アオキを迎え、RMが作曲に参加した「The Truth Untold」。JIN、JIMIN、V、JUNG KOOKをフィーチャーしたこの曲は、携わったすべてのアーティストの新たな側面を私たちに見せてくれる。アオキがEDMの世界を飛び出して美しいピアノバラードを届ける一方、ボーカリストたちは自らの限界を超えて、恐怖と自己嫌悪を克服するための真に迫る戦いを表現する。愛を見つけるための鍵は、本当の自分を受け入れること——この曲にはそんなメッセージが込められている。—R.C.

89
「Life Goes On」(2020年)


「Dynamite」(2020)でBTSはステイホームの閉塞感を打ち破り、私たちを心躍る別世界へと誘ってくれた。「Life Goes On」は、そんな彼らが内なる声に耳を傾けた曲だ。パンデミックの悲劇に起因するつつましやかな態度とともに、BTSはアコースティックな雰囲気が漂うポップ/R&Bバラードを通じて、2020年の第75回国連総会で初めて掲げた「人生は続く」というこの曲のタイトルにもなっているメッセージをより広いオーディエンスに発信している。JIMINの感動的な歌声が際立ち、VとJINがメロディーの流れを導くかたわら、RM、SUGA、J-HOPEが安心できる仲間のように静かにラップする。「Life Goes On」のMVは、終盤でモノクロに切り替わる。派手な演出とは無縁だ。—C.A.

88
「HOME」(2019年)


毎日頂点を目指して空高く飛んでいると、地に足がついた感覚は束の間の贅沢のように感じられるかもしれない。だが、幸いにもBTSの7人にはファンというホームがある。“道の分岐点で、君のことばかり考えてる/惨めだった頃の僕を知る君/君のことを想うと笑顔になれる/君がいる場所”と、グルーヴィーな「HOME」のブリッジを任されたJINが優しく歌う。滑らかなメロディーにファンキーなチャーチオルガンの音色が重なり、安らげる人という存在がいかに神聖なものであるかを教えてくれる。世界がBTSのステージだとしたら、BTSにとってのホームは地球上のすべての場所なのかもしれない。—N.M.

87
「Coffee」(2013年)


「Coffee」は、BTSの初期の楽曲のなかでももっとも過小評価されている曲のひとつだ。この曲では、コーヒーというメタファーとともにほろ苦い別れが綴られる。アメリカンコーヒーの“冷たくて苦い後味”が残る一方、主人公は相手との優しい思い出を懐かしむ気持ちを抑えることができない。ローファイなビートとカフェの雑踏のサンプリング音とともに繰り広げられるゆったりとした音の世界観がメロディアスなボーカルとラップによって際立ち、別れのドラマの真っただ中へとリスナーを誘う。—D.D.

86
「Am I Wrong」(2016年)


“俺たちはみんな犬や豚/俺たちは怒りによって犬になる”と自嘲気味にラップするSUGA。この歌詞があることで、軽快であると同時にブルージーでヒップホップらしい隠れた名曲「Am I Wrong」(アメリカのブルース・ミュージシャン、ケブ・モの1994年の同名の楽曲のサンプリングを使用)は、BTSのディスコグラフィーのなかでもとりわけ政治色が強いものに仕上がっている。この曲の歌詞は、2016年10月に『WINGS』がリリースされる数カ月前に韓国のある官僚が「国民の99%は犬や豚」と発言して問題になった事件に触発されたと言われている。“世界全体が狂ってるように見える/まるで世界の終わりだ”と歌うBTSは、結局のところ正しかったようだ。—N.M.

Translated by Shoko Natori

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